事前準備について

 面接試験において必ずといっていいほど聞かれる項目であり、その内容が採用に直接影響する可能性が最も大きいとされる重要項目が、自己PR志望動機です。面接試験では面接官から様々な質問が投げかけられますが、結局は「あなたはどういう人か」と「なぜこの官庁に入りたいのか」を明確に知るために視点を変えただけの、同じ目的に基づいた質問ばかりなのです。したがって、「私はこういう人です」(自己PR)「なぜこの官庁を志望するのか」(志望動機)の2つをしっかり押さえておけば、ほとんどの場合、どのような質問にも対処できるわけで、本番でそれをきちんとアピールすることができれば、他の受験生と差を付けることができるということですね。自己PRをするためには、自己分析が不可欠です。自分を知らずして自分をうまくPRすることなど普通の人間にはできません。また、自己PRの方向性を決める上では官庁研究が必須であり、官庁研究無しでは志望動機を確立することはできません。

 

「彼を知りて己を知れば、百戦して殆(あや)うからず」

 

 兵法の天才、かの孫子が残した有名な一句です。彼(面接官・志望官庁)が何を求めているのかを研究し、己(受験生自身)がいったいどのような人間であるのかを分析すれば、面接試験は百戦百勝ってことですね。まとめますと、面接で成功するために最も重要な「準備」は、①面接官がどういう意識、考え方を持って受験生をチェックするのかを知った上で、②面接官に対して自分を上手くアピールできる部分はどこで、どのようにアピールすべきなのかを突き詰めるとともに、③志望官庁が、どういった人材を必要と しているのかを研究することです。

 

自己PRとは

 面接試験で受験生の求められる項目として最も代表的なものに、「自己PR」があります。ここでの自己PRとは、「私の名前は○○です。趣味は××で、得意なことは△△です。」といったような単なる自己紹介ではなくて、志望する官庁に「自分を売り込む」行為を指します。具体的には、「私はこういう性格で、こういう能力を持っている。そしてそれは今志望している官庁の目的と性質に合っており、自分が採用されることで当該官庁の活性化につながり、ひいては国民、市民に貢献することができる」ということをアピールする行為です。そしてこのことは、職員の採用を検討する上で面接官が最も知りたいこと、聞きたいことなのです。

 

 広義には「面接試験そのもの」が自己PRの機会と言えるで しょう。面接官からの質問に対して応対する姿勢のすべてが自己PRになっていることが理想です。自分の良い部分を売り込み、悪い部分も良いイメージにすり 替えて売り込むのです。そして、自分自身をPRした結果、面接官に「当職に必要な人材である」と判断されれば、採用される可能性が大きくなります。自己PRは、受験生の考え方や人間性をはかる上で非常に重要視されます。受験生間であまり差がつかないとされる志望動機よりも、重要な項目といえるでしょう。

自己PRには自己分析が必須

 面接官を納得させる自己PRを実現するには、自分自身を「熟知」し ている必要があります。自分の長所や短所が把握できていれば、長所はよ り優れた点としてアピールできるし、短所は克服できるものとして説明することが可能となるからです。また、自分の特徴をすぐに言葉で表現できるレベルで準 備しておけば、少なくとも自分に関係する質問には自信を持って回答できるはずで、心にゆとりをもって試験に臨むことができます。「自分を熟知とかいわれて も、自分のことなんだから知っていて当たり前でしょ」と思われるかもしれませんが、自分に対して自分が持っているイメージというものは、果たして本当に「客観的な」イメージでしょうか。「思い込み」の 部分は無いでしょうか。 中には常日頃から自分を客観視できている人もいるかもしれませんが、他人から見た自分と自分から見た自分とは、イメージが若干なりとも乖離している場合 があります。「○○さんって、◇◇なところがあるよね。」と言われて、「えー、そうかぁ?たまにそういう風に言われることもあるけど、自分ではあんまり自 覚ないなぁ」とかいう会話、経験ないですか?いずれにせよ、面接本番で「自分はこういう人です。」と主張しても、面接官に「そういう風には見えないねぇ。 思い込みじゃない?」みたいに返されてしまっては、辛いですよね。自分を客観視できていない、と判断されると、評価はガクッと下がります。説得力ある自己PRを実現するためにも、自己分析を入念に行い、「自分はどういった人間か」をしっかりと整理しておきましょう。

自己分析の方法

  自己分析の方法ですが、これはもういろいろあると思いますが、まずは自分が思う自分の長所や短所、また自分の特徴や印象に残っている経験などを、 ノートやパソコンを使って書き出せるだけ書き出してみましょう。それにより、ぼんやりと持っていた自分のイメージが、はっきりと目に見える形で確認できる ようになります。また、家族や友人、学校の先生など周りの人に聞いて、「自分はどんな人間に映っているか」を教えてもらいましょう。「客観的なイメージ」を 確認するのです。そして、確認した自分の長所や短所、その他の特徴などについて、面接試験で使えそうなポイントをピックアップするとともに、自分の長所が 生きた経験や自分の短所の克服方法、また短所をカバーするための努力などについて考えるなど、掘り下げていきましょう。

 

そして自己分析の際は、「アピールポイントを絞る」こと、「エピソードに絡める」ことを特に意識して取り組むようにしてください。

 

  人それぞれ、必ず何らかのアピールポイントは存在すると思います。中にはアピールポイントがたくさんある優秀で万能な方もいらっしゃるかとしれません が、そういう人であってもアピールポイントは絞った方が説得力が増します。何でもかんでもアピールすると、「ウソじゃねーの?完璧超人じゃねーか」などと信憑性を疑われる危険性がありますし、単なる自慢話になると面接官から「なんかムカツクな」などと悪いイメージを持たれる危険性がありますからね。面接官も、人間ですから。また、近年の公務員試験における面接では、コンピテンシー面接たるものが一般的なものとなっているため、自分の実際の体験(エピソード)に基づく自己PRというものが非常に重要です。

志望動機とは

 志望動機は、受験生の熱意を確認するために聞かれます。「本当にこの官庁に入りたいのか。内定を出したら、この官庁に入ってくれるのか。」という「本気度」を 探っているわけです。内定を出したのに来てくれなかったら、官庁の採用計画が狂いますからね。いくら優秀な人材でも、来てくれる可能性が極めて低い人に内 定を出すわけにはいきませんから、面接官も必死にそのあたりを確認しにきます。ということで、面接官を納得させることができるような説得力ある志望動機を 練る必要があるわけですが、そのためには「実際に志望官庁において公務員がど のような仕事をしているか」を知る必要があります。それを知らないでは、真実味のある志望動機を語ることは困難だし、適当に捻り出した志望動機はどうして も薄っぺらい中身のないものになってしまいます。何より、勘違いや思い込みの情報で武装したまま面接に臨むと、面接官からキツい突っ込みをされ、撃沈す る危険性があります。ところで、そもそも「公務員という安定した職業が魅力的だから」だとか「休暇が取りやすいから」などの志望動機である場合は、官庁研 究などせずとも志望動機としては自分の中では確立されているわけですよね。 面接試験でバカ正直に「民間に比べて楽そうだからです!」などと発言したところで、面接官が「コイツは正直なヤツだ」などとプラス評価してくれる可能性は極めて低いでしょう。「本音と建前も使い分けることのできない単なるバカだな。こんなのを採用すると、折衝や交渉でも失敗するんだろうな」と切り捨てら れるのが関の山です。

 

となると、建前でもいいので、面接官にある程度納得してもらえる志望動機を考えなければいけません。そこで、志望官庁の業務内容を知る必要性が出てくるわけです。もちろん、自分の性格や能力などを考えて、「仕事に対する自分の適正を考慮する」上 でも、官庁研究は必須です。人生の大半を過ごすことになるであろう場所を選ぶわけですから、官庁研究の理由としては、むしろこちらの理由の方が重要でしょ う。しかし、受験生が集めることのできる官庁情報の源は限られているため、実際にはどうしてもありきたりで似たり寄ったりの志望動機が多くなってしまいま す。したがって、志望動機についても、自分の経験したエピソードに絡めて伝えるなど、リアリティとオリジナリティを持たせるよう工夫する必要がありま す。面接官はあまり受験生の志望動機に期待していないようですが、だからこそ面接官に「お?」と思わせるような志望動機を伝えることができれば、他の受験生に大きな差を付けることができるでしょう。思い込みや勘違いを排除し、自分自身が納得のいく志望動機を確立するためにも、しっかりと官庁について調べましょう。