国税専門官(勉強法)

同じく国家公務員専門職のひとつである財務専門官も、国家一般・地方上級と重複する出題科目が多く、むしろ国税専門官よりもとっつきやすそうな試験内容 なので、国税専門官と財務専門官、試験内容だけで比較するとどちらを併願受験しようか迷うところ。2つとも受験できればベストなのですが、シットなことに同日試験なのでそれは不可能です。近年の試験実施状況を見ると、競争率(申込者数÷最終合格者数)は財務専門官の方が上なので(H25は国税専門官が7倍弱、財務専門官が10倍弱)、合格しやすさでいうと国税専門官です。まぁ、もちろん「どちらの職で仕事をしたいか」に尽きるわけです。国税専門官も、基礎能力(多肢選択式)よりも専門(多肢選択式)の方が得点比率が高く、また専門記述があり、国家公務員一般職等と同じく専門重視の試験です。

 

基礎能力試験

国家一般職試験と同様に知能分野における現代文は、それなりな難易度ですがセンター試験でもおなじみの、選択肢を眺めてから解く。しかし、筆者は思う に・・・・、したがって、などの重要なキーワードの後の文章に着目するなどのテクニックは有効です。英文は、TOEICの長文レベルですが「速読英単語 (標準編、上級編)」「DUO」等で単語力を付けてから過去問を解きましょう。苦手な方は多少捨ててもかまいません。数的推理、判断推理は得意なかたは過 去問をガンガン解きましょう。苦手な方は、畑中先生のいわゆるワニ本、カンガルー本から手をつけた後に過去問を解いてみましょう。解ける問題を確実に解く ことが非常に重要です。資料解釈も畑中先生の本で力をつけ過去問を解きましょう。知識分野は、時事については「速攻の時事」、法律、経済、政治は専門試験の勉強で対応できます。後の分野は高校で習った科目+αの科目をできるようになるのが目標ですが、知能分野ができるならばそこまで本気でやらなくてもかまいません。

専門試験

次に専門試験ですが国家一般職試験と同様に、一般的に憲法、民法Ⅰ、民法Ⅱ、行政 法、ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学・経済事情を徹底的に「スーパー過去問ゼミ」でつぶしたうえで、のこり2~3科目をお好みで予備的に勉強しておくのがよいでしょう。ちなみに国税専門官試験の経営学は比較的簡単な のでおすすめです。問題は会計学と商法です。この2科目は他の公務員試験で出ることがほとんどなく、いわゆる国税専門官受験専用の科目みたいなものです。 国税専門官が本命の人は、会計学の勉強もしっかりやる必要がありますし、2問だけ出題される商法についても軽視することはできません。一方、併願受験を考 えており(公務員受験生はまず併願すると思いますが)、国税専門官が第二志望以下の受験生は、商法の2問は捨ててもまず問題ありません。というか、捨てるべきです。他の公務員試験でほとんど出題されることがなく、かつ問題数の割には条文が多過ぎます。専門試験の2問は大きいですが、商法にかける時間を他の科目に割いた方が圧倒的に効率が良いです。商法は躊躇なく捨てること。これ、国税専門官併願受験者の鉄則です。また会計学についても、多くの過去問や模試を経験してきた勘と国語的なセンスで 解けば、3問前後は無勉強で取れることがあります。国税専門官は、他の科目で高い正答率を確保すれば、この2科目をまったく勉強しなくても合格することが 可能です。要するに、国税専門官が第一志望の方は会計学は絶対勉強しないといけないし、商法は時間と相談です。第一志望ではないが比較的志望度が高い人 は、商法は迷わず捨てて、会計学は勉強すべきです。そして国税の志望度が低く模試気分で受験する併願受験者は、商法及び会計学両方を無言で切り捨てるのが良いということですね。ちなみに、毎年この2科目を全く勉強しないまま国税専門官試験を無欲で受験し、なんだか知らない間に最終合格しているという公務員受験生も結構いるみたいです。

 

記述式試験

最後に記述式試験ですが、字数は概ね800字~1200字程度。時間は、国税専門官で1時間20分です。国税専門官では一次試験合格者を対象に評定(採点)された上で、最終合格者決定にあたり、他の試験種目の成績に統合されるようです。専門記述に要求されるのは、知識が全てで す。課題に対して十分な字数と構成で解答が正確に記述されてさえいれば、満点を取れる訳です。が、裏を返せば、知識が無ければアウトです。いかに文章作成能力が長けていようとも、試験で与えられた課題に対する知識が無ければ、何も書けません。かつ、中途半端な知識でも、到底合格レベルの答案は書けません。 したがって、受験生間で点数差が付くのが、専門記述です。きちんと対策したかどうかで、モロに結果に響きます。一方で、あくまで一次試験合格者を対象に専 門記述答案が評定されるので、面接にある程度自信のある受験生は、足きりラインである基準点を超える程度の答案が書けるようになることが取り敢えずの目標です。学習開始時期については、択一式の学習が一通り終わってからが無難。択一式の学習によって基礎事項を頭に叩き込んでからの方が、記述対策もスムーズ に進みます。 また、専門記述対策によって択一式の知識が厚くなるという、相乗効果を狙うことができます。専門記述は、発想力や表現力はほとんど要求され ないため、出題されそうな論点をひたすら覚えるという作業で、合格者平均ラインに達することができます。が、受験生の方々は、まず「どの科目を選択する か」で悩むかと思いますし、選択する科目を決めたとして、「出題可能性のある論点を確実に押さえ、正確に記憶する」という作業は、なかなか大変です。ということで、ポイント別に見てゆきます。

 

①どの科目を選択するか。

ま ず選択する科目の選別ですが、せいぜい2科目程度を用意するので精一杯かと思われます。そして、選択する科目ですが、こればっかりは受験生の得意不得意や 受ける公務員試験種に応じて、自分で決定するしかないかと思います。というか、独学の受験生からすると、市販されている対策本の科目が限られていることも あり、選択肢は自ずと絞られてしまうわけですが。現状を見ると、専門記述を課するほぼ全ての公務員試験で出題される憲法を選択される受験生が多いようで、市販されている公務員試験専門記述論文対策用の本も憲法がメジャー。次に経済学は ミクロ・マクロと範囲は広いですが、覚えないといけない出題されそうな論点はそれほど多くないし、図やグラフを描けば自然と記述すべき論点が見えてきま す。さらに、論述するプロセスでまず間違いなく図やグラフを用いることになるので、解答用紙のスペースも確保できます。また、会計学を選択する手もあります。会計学は、頻出論点がある程度決まっているため、出題テーマが他の科目に比べ予想しやすく、かつ国税専門官試験の必修である択一式の会計学の対策にもなるからです。会計学記述対策用の参考書が市販されている点も見逃せません。

②どの論点を学習するか。

出 題可能性のある全ての論点を押さえることが理想ですが、それには膨大な時間と労力がかかるため、ある程度ヤマを張ることになるのはやむを得ません。ヤマを 張るには、受ける公務員試験種の過去の専門記述出題テーマを確認するしかありません。近年3年間ぐらいの出題テーマはまず出ないので、それ以前のテーマと 今まで出題されたことのないテーマを確認して傾向を分析し、論点の少ない科目で10テーマ、多い科目で20テーマぐらいまで絞りましょう。しかし、テーマ が出尽くされている憲法は危ないので注意が必要です。人権分野か統治分野かでさんざん迷ったあげく各分野20テーマ程度まで絞った論点を必死で暗記し、「さぁどこからでもかかってきなさい」と意気込んで本試験に臨んで問題を見た瞬間、「事例問題だと!?」見事に沈没するという、タイタニック号もかくやの悲惨だが有りそうなケースは、できれば避けたいところです。

 

③学習法

選択する科目を決め、論点を絞ったら、お勧め参考書を使ってひたすら記憶で す。キーワードや重要論点をマーカー等でチェックしながら答案例を読み、頭に叩き込みます。経済学や会計学の場合は、図や表を実際にノート等に書きながら 覚えます。ただ、参考書の記述答案例は、論点はきちんと捉えられていますが、誤植があったり構成が微妙な部分が見受けられたりするので、丸覚えした答案例 を本試験でそのまま書くのはお勧めできません。学習時はあくまで重要ポイントを押さえることに力を注ぎ、試験本番では課題に関係するキーワードや重要論点 を問題用紙の余白等にザッと書き出し、それらをつなぎ合わせて答案を作成するという形式で臨むようにしましょう。また、これはあくまで参考ですが、法律系 科目や行政系科目といった図表等を使わない科目で、参考書を読むだけではどうしても内容が頭に残りにくいと感じ る受験生は、参考書の記述答案例を加工して、自分で模範解答を作成して覚えるという勉強法も一つの対策法で す。他人の答案例を読んでいるだけではつまらな いから頭に残りにくいのです。といっても、手書きは負担が大きいので、編集作業が楽なパソコンのワープロ機能を使って模範解答を打ち込みます。手書きの方 が記憶に残りそうなイメージがありますが、手で書いても忘れるものは忘れます。何よりこの方法は、パソコンで打ち込むという作業が目的ではなく、自分で作 成した模範解答をプリンタで出力して、それを何度も読み直して記憶するという作業に意義があります。当然ですが、自分で作った文章は他人が作った文章より も覚えやすいし、参考書答案例を自分で加工して模範解答を作成するプロセスで、一度知識が整理されるという利点もあります。