集団討論

 集団討論とは、複数の受験生を1つの部屋に集め、1つのテーマを与えて受験生同士で討論させ、その様子を試験官が見ながら評価するという形式で行われる人物試験です。具体的には、受験者5~10人程度で1つのグループを作り討論をし、その近くで3~5人程度の試験官が討論の様子を評定シート等を用いてチェックします。与えられるテーマは事前に提示される場合と討論の直前に知らされる場合がありますが、直前に知らされる場合は、10分間程度自分の考えをまとめる時間を与えられるのが一般的です。時間は、自治体や省庁によって45分~90分程度と幅がありますが、概ね60分くらいのようです。

 

 集団討論は民間の採用試験においても比較的最近登場した人物評価手法ですが、近年は、ほとんどの自治体が地方上級の2次試験でこの集団討論を取り入れており、また国家公務員採用試験における官庁訪問でも実施するところが増えています。ある目的に向けて組織やグループで議論を進める過程において、受験者がどのような役割を果たすかを評価するもので、従来の筆記試験、個人面接、集団面接 では見ることのできない受験者の一面(協調性やリーダシップ、バランス感覚など)を、この集団討論で把握する事を目的としているのです。官庁や自治体によって流れは異なりますが一般的な方式は次の通りです。

 

集団討論の流れ

① 係員より控室から指定の部屋に誘導され、あらかじめ番号やアルファベットがふられた所定の席に着席する。

② 試験官から説明とともにテーマが書かれた用紙が配布され(試験事前にテーマが与えられる自治体もある)、10~15分程度の時間が与えられるので、テーマに対して自分の意見をまとめる(テーマの書かれた紙の余白に意見を箇条書きしたり結論を簡潔に書く)

③ 各自順番に1分~2分程度でテーマについての意見を発表させられる(テーマに対する意見を考えさせ終えたらいきなり自由に討論を開始させられる場合がある。)

④ 討論の進め方について試験官から説明され、制限時間を決められ、集団討論開始(集団討論の進め方や役割分担の決定などは基本的に全て受験生に任される。)

⑤ 時間が来たらグループでまとめた結論を発表

 

 

集団討論における役割分担

 集団討論をスムーズに進めるためには役割分担をすることが重要です。まず討論を進行し話をまとめる司会、次に討論の進捗管理を行う時計係、そして受験生から出た意見や提案をメモする書記が一般的です。これらの役割がうまく機能すれば討論の質そのものが向上するので、グループ全体の評価が上がります。 では、各役割の特徴や、その役割を担当する際の注意事項を見ていきます。

 

司会

 討論の進行役である司会の仕事は、討論の流れをつくる、討論の節目で話を整理するメンバー全員に対して発言機会を均等に与える配慮をする討論が混迷したら流れを軌道修正するといったところでしょうか。司会の重責は重く、それゆえにその職務を全うして集団討論の成功に大きく寄与できれば、試験官から非常に高い評価を得ることができるでしょう。逆に、討論をうまくコントロールできずに結論が出ないなど集団討論が失敗に終われば、自分はもちろんグループ全体の評価を下げることになるという、ハイリスクハイリターンの役割が司会です。つまり「司会をやれば」評価が上がるわけではなくて「司会を担当して討論をうまくコントロールしてグループ全体として集団討論を成功に導いて」初めて評価されるのです。別に司会役をせずとも集団討論においてアピールすることは十分可能なので、よほど討論進行役に自信がある受験生は別として、ハードルの高い司会役は担当しない方が無難だと思います。集団討論が成功に終わればグループ全体の評価が上がり、結果として自分の評価も他のグループの受験生に比べ相対的にアップすることが期待できるので、自分よりも空気が読めそうな人、司会ができそうな人がいるのであれば、その人に司会役を任せるのが吉。したがって、討論開始前に、話をリードしたり周りに配慮できそうな人でありかつ「司会役をやりたそうな人」を見つけた場合、「○○さんが嫌でなければ、 ○○さんに進行役をお願いできないでしょうか」などと発言すると、進行役の人も助かるし、「周りが見えている」と試験官から評価されるかもしれません。

 

 さて、それでもどうしても自分が司会をしないといけない、あるいは司会をした方が良いと判断されるケースはあります。それは以下の2つの場合です。

 

①自分以外のヤツに司会をまかせることができそうなヤツがいない場合

②討論のテーマに関する知識があまり無いため、積極的に意見を出す役割よりも皆の意見をまとめる役割の方がうまく立ち回れそうな場合

 

まず①の場合はつまり、「集団討論の成功率を考えて、他の受験生に任せるぐらいなら自分が司会役を担当した方がマシ」と判断した場合ですね。ろくでもない受験生に司会役をされたがゆえに討論が失敗に終わって迷惑を被るのは絶対避けたいところです。次に②は要するに司会役に逃げると いう手法です。難しい役どころである司会役に逃げるというのはいささかおかしな話ですが、司会進行役にそこそこ自信があって、かつ討論のテーマに関する知 識が乏しいと判断した場合は、この選択肢も有りかと思います。 ただこのように自分が司会役をやろうと判断した場合でも、試験官の討論開始の指示と同時に 「待ってました!」といわんばかりに「私が司会役をさせていた だこうと思います。」みたいな感じでいきなり司会役を名乗り出るのは、試験官からのチェックが厳しくなる恐れがあるので避けたほうがいいと思います。若干の間を持ったあと「もしよろしければ」などと探りをいれつつ名乗り出るか、だれも司会役をやりたがろうとしない中で「えー、では時間がもったいないので私 でよければ…」という感じで司会を名乗り出ると、控えめで冷静な部分を試験官にアピールできるし、他のメンバーに安心感を与えることができ、スムーズに討論に入っていけるかと思います。

 

また、司会としての討論進行時の注意点ですが、進行役だからといって単にみんなに話をふりながら討論を進めればいいってものではありません。司会をしながらも自分の意見を交えつつ進行しないと、自分をアピールをすることができません。よって、上記②の理由により司会役を選んだ場合でも、「私はこのように 考えるんですが、皆さんの意見はどうでしょうか?」みたいな感じで、一般論的な意見でもいいので必ず自分の意見を発してから周りに意見を求めるようにしま しょう。

 

時計係

 時計係の仕事はその名のとおり時間を管理する人、いわゆるタイムキーパーです。最初に設定した時間配分のとおりに討論を進行できるよう、「残り5分で解決案策定の時間は終了です」といった感じで時計を確認しつつ討論の進捗管理を行う役割ですね。この時計係は実は結構おいしい役で、 「時間を気にしなければいけない」という仕事がある分ガンガン意見を出す必要性が無い一方で、「時間になりましたので、ひとまず意見はこのぐらいで置いと いて、次の議論に移りましょう」といった感じで、司会に代わり「討論の節目で発言する」ことができるのです。時計さえもっていれば別に誰にでもできる役ど ころであり、集団討論のテーマに関する知識がそれほどなくても集団討論への貢献度を表現できるタイムキーパーは一押しの役割ですが、「議論に熱中し過ぎてタイムキープし忘れる」などは最悪なので、議論をリードしたい人は司会を選択した方が良いでしょう。

書記

 言うまでもなく、皆の意見をメモする人です。一般的に、各役割分担の中でもこの書記が最も意見を発言する機会が少ない役割だと言えるでしょう。というのは、書記の仕事は「みんなの意見を聞き、それを紙に書くこと」であり、そこそこの人数で実施される集団討論においてはその作業が結構大変なので、自分が発言する機会を確保しにくいからです。これは討論のテーマに対する知識があまりない受験生からすれば魅力的な役割に見えるかもしれませんが、逆に言えば試験官にアピールしにくいという大きな欠点を持つ役割でもあります。皆の意見をメモにより常に把握しているので、それらの意見にプラスアルファの意見をかぶせて発言できるというメリットもありますが、みんなの意見を書き 写すことに終始して集団討論が終わってしまうというリスクは否定できないので、書記を選ぶのには慎重になる必要があります。 したがって、集団討論開始時に無理に書記という役割分担を作らず、各自でポイントをメモるようにして、結論を出す際にそれらを司会役の人に集約してもらうという手法も場合によっては有りかと思います。

 

役割無し

 集団討論は、別に必ず何かの役割を担当しないといけないというわけではありませんので、司会やタイムキーパーや書記がサクサク決まってしまって、自分が役割無しになっても焦る必要はありません。むしろ、何の役割にも縛られていない方が自由に発言しやすいし、場合によっては調整役になり、場合によっては積極的に意見するなど、柔軟な姿勢で討論に参加することが可能となります。ただ、討論テーマに関する知識がほとんどない場合は極めてリスキーです。何の役割分担もない分、積極的に意見を出さないといけない立場にさらされる可能性が高いので、あまり得意でない分野のテーマが出た場合は、何らかの仕事を担当するようにしましょう。

集団討論を有利に進めるヒント
あーやべぇなぁ、俺、口ベタだしなぁ。みたいな人は以下のヒントを参考にしてください!いかに積極性を見せていくかのヒントを次に示します。

発言をする人の顔を見て、会議に参加していることをアピールする。


②他の発言者の意見に賛同しつつ、自分の意見を添えてみる。
発言例「Aさんが先ほど言われた老人が使えるパソコンというのは、老人福祉施設との連絡だけでなく、一人暮らしの老人のコミュニュケーションツールにもなるので(←この太字部分は自分で考える。)、非常に役に立つと思います。」


③他の発言者の意見の、不明な部分について質問してみる。
ただし、「~についてはどうですか。」のような相手が答えづらい自分勝手な聞き方はしないこと。 なるべく具体的に、答え安いように聞くこと。
発言例「Aさんが先ほど言われた老人が使えるパソコンというのは、例えば、文字が大きく表示されたり、音が出たりするようなものを考えればよいですか。」

出題テーマが難しいとき、また2、3人の口達者な人の独壇場が始まったとき、あせらない。
集 団討論は、より高尚な、より精度の高い意見が言える人を選別するためのものとは、私は考えていません。公務員としてこれから何十年と勤続していく上で、そ んな意見がいえるような頭の切れや回転のよさなんて必要ないんですから。礼節を守る、周囲のことを考えて行動する、市民のことを第一に考える、そういう、 基本的な姿勢があれば、公務員としては大成すると、私は考えています。しっかりと、発言者の発言を聞き、討論の流れを追っていってください。先の①や②の ようなものでもいいので、気持ちだけでも討論に参加してください。その姿勢は、試験官には伝わります。

ただ単に、積極性を見せればよいというわけではない。
他の発言者の意見を完全否定し、自分の意見を正当化するようなことはご法度です。集団討論は、立派な結論を出す場ではないし、あなたの能力をアピールする場でもありません。建設的な議論をする場である、という空気を読んだ上で、積極性を見せてください。